レッスン、講義、観光などなど
 最後に会えるかと思いましたが、ユニバーサルの送りで最後になってしまいました。皆さん、大変お疲れ様でした。そして、ありがとう。何かしら今回のツアーでえたものを日本に帰ってからのそれぞれのダンス人生に活かせてもらえれば幸いです。

講義
 山本さん。何よりうれしいのはあなたがずっとトニーティーダンスに携わってくれていることです。結婚、出産、そしてスタジオの立ち上げ、色んな事もあったでしょうが、ダンスを続けていってくれていることが何よりのトニーティーへの孝行であると思えます。これからも良いこと、悪いことあるかもしれません。しかし自分の道を信じて頑張って欲しいと願います。
 一つだけアドバイスできるとすれば、決して背伸びして事業をスタートしないこと。この業界は一見派手ですが、スタジオ経営というのは大変地味なものです。スタジオの経営に一攫千金はありません。日々の積み重ねで一段一段築き上げていくものです。そのためにはできる限りリスクの少ない方法をとって、しかし内容的には良いモノを提供するというのがベストだと思います。頑張ってください。

 太田さん。よく頑張りました。あなたのような方がダンスを頑張っているから、みんなに勇気と自信を与えることができるのです。あなたが指導者になれば、もっとたくさんの人に勇気と自信を与えることができるでしょう。
 私がダンスを生き甲斐と感じる瞬間は、自分の教えによって他人の人生が変わったときです。今まで、家族のため、主人のため、子供のために生きてきて、気がついたら年もとって自分の人生が置き去りにされている。そんなときにダンスに出会い、残りの人生を自分のために生きる。この年になってライトを浴びてステージに立てる。一生懸命に汗を流して自分の中の「女」を取り戻す。とても素晴らしいことですね。こういう年配の女性に私はたくさん出会いました。こういうときに私は「ダンスやってて良かった」と思えるのです。
 たとえ太田さんが教えねのがイヤでも、ダンスを踊り続けることでたくさんの勇気と自信を人に与え続けることでできるはずです。頑張ってください。

 朝香さん。前から、思っていたことを朝香さんの口から聞きました。それは一つの進歩ではなかったかと思います。もう一度、というか前は知りませんけど、弾けて欲しいと思います。まだまだ十分に弾けることのできる若さなのですから。
 教えるということは、守りに入るということです。守りに入っていることを生徒も良しとします。スタジオの先生だから、周りの人も良しとします。それで上手くいっているわけだから、それで「良し」なのです。でも自分の中に沸々となんだか煮え切らないものがありますね。完全燃焼しないというか、もっとできるというか。
教えでいくら身体を動かしていても、自分のダンスは上達しません。上手くなるためには自分のために踊らなくてはなりません。自分が踊るということは「攻める」ということです。「攻め」にはリスクが伴います。「いまさら、やらなくてもいいじゃん」って周りは言います。「頑張ってやれよ」とはなかなか言ってくれません。だから私が言います。自分のために踊りなさいと。たとえ少なくても、10分でも20分でも自分の練習時間を作りなさい。そして自分のステージをもう一度やりなさいと。それが新しいスタジオの「ASAKA」スタイルなのじゃないかと思います。頑張って欲しいと思います。

 扇原さん。楽しそうに踊りますね。あなたの第一印象です。そしてダンスにとってこれが最も重要な要素なんだと思います。踊り踊るのにホントは理屈なんていらないんです。たのしけれゃいい。弾ければそれで良い。ダンスは心の解放ですから。あなたはこの一番大事なものを持ってる。そう思ってます。だから、それができている人に私はアドバイスは基本的にしません。聞かれない限り。大きなお世話ですから。
 上手くなるためにどうすればいいか。これはほとんど技術論です。一般のダンスのレッスンや人が考える「上手くなりたい」というのはほとんどダンスの技術論です。技術は科学の上に立脚してますから、能書きが必要になりますね。それも上に行けば行くほど細かな能書きが必要になってきます。この細かな能書きのおお元にあるのが、FUNKの場合、インターロックです。もう一度自分のインターロックがチャンと理論通りに、物理の法則にかなって動けているか、第3者の目をもって冷静にそして厳しく見つめ直してみてください。ここが変わるとあなたのダンスは変わります。全てのダンスの技術が上達するはずです。頑張ってください。

 花井さん。お疲れ様でした。花井さんは全てのものをまんべんなく、そして無難にこなします。それは素晴らしいことですが、一歩間違えれば逆に欠点にもなってしまいます。そう、それは個性がないことの裏返しだからです。個性というものを考えて見るといいと思う。個性って何だろう? 言い換えれば自分の魅力って何だろう? ダンスは自己表現だから、個性がなければ自己表現もできないということですね。つまり、他人と違った自分の魅力を身体を使って表現していくことがダンスなんだろうね。そう考えると自分の魅力が何かを探す旅に出ることですね。旅って言っても旅行じゃなくて、ダンスのレッスンを受けているときや日常の生活を通してでも自分の魅力を探し出すと言うことです。
 この一週間で残念ながら私はあなたの魅力を探し出すことはできませんでした。ないのですかね? そんなことは決してありません。必ず持ってます。自分の魅力がわかっている人は、強いです。開き直ることができるからです。
 アカデミー在学中にとんでもないリズム音痴な男の生徒がいました。壁にぶつかったり、穴を開けたりします。これほどまでにリズムを外して、不安定に動く人は見たことありません。これは個性の裏返しで彼の大きな武器になると思いました。これでバラエティ番組に出たら、一躍踊るコメディアンで有名になったかもしれません。しかしそのためには、開き直りが必要です。私が言いたいのは、自分のやりたいことと他人が自分に期待することは違うと言うこと。そして概して他人の目のほうが正しいこと。そのギャップを埋めるのは冷静に自分を見つめる第3者の目をやしなうということです。誰もがブリットニーになりたいでしょう。でもそれは無理。じゃあ、自分の個性はどこにあるのか。どうすればひとかどのダンサーになれるのか。自分のかわいさはどこにあるのか。それを見つけて欲しいのと思います。頑張ってください。

 なんだか遺書みたいになってしまいましたが、これが私から皆さんに贈るメッセージです。日本に帰ってからも、時々お便りをいただけるとうれしいですね。たった1週間ですが、皆さんも同じ釜の飯をくった仲間ですし横の連携もとりつつ、互いの情報交換をしながら、またロサンゼルスで一緒に汗を流す機会を持てればと思います。身体に気をつけて頑張ってください。それでは。

Tony Tee