ジャズダンスという呼称は広く世界中に広まっていますが、いざ「じゃあ、どんなダンスがジャズなの?」とか「これは何のための練習なの?」と聞かれると困ってしまう人が多いと思います。 日本では1970年の後半に、第一次ジャズダンスブームがきました。アメリカと違い、もともとジャズ音楽やダンスの土壌がない日本ですから、「とにかく楽しければいい」的なノリと「バレエが出来りゃ何とかなる」的なノリで、アメリカの受け売りの域を出ないままに日本全土に広まってしまいました。
当然、アメリカにおける100年以上にわたる黒人リズムやジャズ音楽のジャズダンスに対するコントリビューションなど、身をもって理解できるわけないですから、出来上がったものは借りてきた猫のようなものとなり、本場のダンスとかなり違ってきてしまいました。
例えばピルエット。ジャズピルエットとはアウトサイドのターンです。軸は1つです。すなわち原理はバレエのピルエットと同じです。だから日本ではバレエが上手い人はジャズも上手いという暗黙の構図が自然と出来上がってしまいました。しかし本当はそうではないのです。 ジャズピルエットはバレエのピルエットと違い、回るスピードが非常に重要なポイントになっています。つまり、音楽のビートに合わせて回らなければならないのです。音の中で回るために、またスピードを調節するためにバレエにはないボディコントロールと様々なテクニックが必要です。
残念ながら、こういったことは日本はもとよりアメリカのどこのスタジオにいっても教えてくれません。この感覚は、おそらく長い歴史の中で身をもって培ってきたアメリカ人のリズムセンスだからでしょう。従って、日本のジャズダンスのメソッドの中には一切こういったビートやリズムに関するノウハウやテクニックが存在しないのです。 しかしながら、ここがジャズがバレエやモダンと一線を画する大事なポイントであり、またジャズをジャズたらしめている所以であろうと考えます。
本テキストとビデオは、形式よりも実を重んじた実践の書です。トニーティーがアメリカで培ってきたジャズテクニックの基本をすべて網羅するように努めました。ファンクインターロックと同じく、ジャズのテクニックもすべてがリンクしています。一見難しそうなことも一つずつクリアしていくことで加速度的に上達していくはずです。複雑な動きを100個覚えるよりも応用のきく1個のステップを修得するほうが、大切であると考えます。従って、このテキストにある内容はすべて重要ですから、あせらず一つ一つを確実にものにしていって下さい。
Tony Tee